こころのなかでね

「愛にイナズマ」を見た。

おめー心の中で100回殺したぞ、な映画だった。隠そうとしてきたもの、見ないようにしてきたものに向き合い直すような映画だった。その意味では同じく石井裕也監督による「月」に近いテーマなのかもしれない。この2作品が同時に映画館でかかっているのがすごい。「月」は自分の中の感情とわかりえない他者と向き合う話で、「愛にイナズマ」はいちばん近いはずなのにいちばんわからない家族の存在に向き合う話に思えた。作風はあっちはホラーでこっちはコメディだ。映画監督と名乗る主人公。初めて自らの作品に出資してくれる人が現れる。お金を得るために感じの悪い人たちに取り入らなければならない。そうして自らをだまして取り入ろうとしていた世界はおぞましいほど空虚で暴力的なものだったけど、目を向けるのもイヤなくらい嫌悪していた家族の中に自分が求めていたいちばん美しいものがあったという。とにかくおぞましい世界の代表として登場するMEGUMI三浦貴大演じる映画業界のプロデューサーと助監督のコンビがまれにみるムナクソ度合いで、この2人の下劣さを拝めただけで入場料元を取ったというか、心の中で100回は殺しました。SISUでナチを皆殺しにした最強じいさんを召喚してこの映画の世界に投入したい気分でした。とにかく役者が豪華!見てよかったです。

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