のぼりつづける


ショートフィルムの映画館が近くにあるので、ここのところちょくちょく見に行っているんだけど、今まで短編をまとめて見る機会がなかったので、なかなか新鮮で面白い。小ネタっぽいワンアイデアものもあれば、意外にしっかりしたドラマがあるのもあって、アタリハズレはあるけど、どれも海外の賞を取っているだけあってかなり見応えがある。この2週間で20本ほど見て、一番心に残っているのが「カーマンライン」というイギリスの短編で、短編といっても30分ほどあるので、短編の中では長い方なのだけど、これがすごくよかった。ある日、奥さんが立ったまま金縛りになってしまって、その場所で少しずつ上昇していく奇病にかかるという話。最初はゆっくりと家の1階の天井を超えて2階へ、やがて家を飛び出して外へ、徐々にスピードを上げていき、やがて自分の家が見えなくなるほど高く奥さんが上昇していってしまう。そんな奥さんに家族がどう向き合うかというけっこう深刻な内容で、ダメな娘が立ち直っていったり、夫婦最後の営みがあったり、すごく内容が豊かで、最後は思わず涙が流れてきた。なんか忘れられない作品になりそう。