しょくおそるべし

ファッチューチョンである。美味しんぼを読んでいた人なら聞き覚えがあるはず。「ファッチューチョン」独特の響き。この名前だけは忘れられない。アニメでは26話に登場する。「食べない理由」という回(サブスクでは欠番ですが、食べる前に見直して行きました)。ある理由で外食で出された料理に一切手をつけようとしない食通の老人が、ファッチューチョンの前ではその誓いを破って食べてしまうという話だ。堅い信念を曲げされるほどの食べ物。漢字で書くと佛跳牆。名前の由来は、あまりにも美味しいそうだから修行僧ですら塀を跳び越えて食べにくるってことから来ているらしい。いつか食べたいと思っていたけど、昨夜、それが実現しました。都内某所の店に入ると、上の写真の食材が入り口でお出迎え。これがスープに全部入っているのだという。鯨皮・スッポンエンペラー・チョウザメの軟骨・鯨のさえずり・魚の浮袋・ 朝鮮人参・春ウコン。鯨コラーゲン・乾燥山芋・ウイグルパチュ茸・ 牛アキレス腱・毛牛アキレス腱・吉浜産干しアワビ・ナマコ・魚唇・龍眼・坂田鮫・ ナマコの筋肉・伊達鶏・浅野豚・干し貝柱・羊肝茸・ポルチーニ茸・夏草花・ キヌガサ茸・金華ハム・毛鹿鮫フカヒレ・鹿耳茸・クコの実など…。など?これだけ入っていて、まだ「など」だと。脳がバグる。食材を一通り説明してもらった後、出されたスープ。一体何時間煮込んだのか検討もつかないけど、具がたくさん、そしてスープは色はあるけど澄んでいる。身体に良さそうな高級な香りがする。スープを一口。ん!?なにこれ。味が爆発する。強烈にくるというよりじんわりと広がる。甘いとかしょっぱいとかそういうのではない。何の味なのかわからない。旨みだけが広がる。調味料は一切使っていないらしい。素材の味だけで深みを感じる。そしてたっぷり入っている聞いたこともない具材の数々。とろとろである。とろみのお化けのようなトロみの洪水。とにかく美味しいとかそういう言葉では簡単に片付けられないような、いますごいものを食っているという特別感は人生でも随一だったと思う。何にせよ夢が叶った。そしてすごかったのは翌日だ。食べた後、深夜3時頃まで飲んで、騒いで、はしゃいでたんだけど、6時半にはスクっと起き上がって仕事が始められた。とんでもない量を飲んだのに一切二日酔いしていない。これ、もしかしたらファッチューチョンの力なんじゃないだろうか。食の力、恐るべし。

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