おいつめられてく

「スペンサー ダイアナの決意」を見た。

アート映画のように始まって、まるでホラー映画のような展開を見せる心理劇。規律と欺瞞と裏切りの中で人が壊れていく話であり、その後起きる悲劇を前に誰が私を殺したか?という疑惑に切り込むような映画にも見えた。楽しんだ証として1キロ太ることを義務づけられるクリスマス休暇の3日間。凍えるような寒さの中でも伝統として暖房を使わない。着る衣装も食べるマナーも規則にまみれて息苦しい中、愛人に贈ったのと同じ真珠のネックレスをプレゼントされて崩壊する。史上最も愛されたはずのプリンセスの追い詰められた心の内がそのまま映像になったような、そんな映画だった。冒頭の軍用車につぶされそうになる鳥の死骸が示すことは何か。かかしの服とは何なのか。心の救いとなる衣装係は果たしてそこに存在したのか。いろいろと考えてしまう。

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