あたまんなかへ

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「マーウェン」を見た。
ある写真家の頭の中についての映画だ。暴行事件によって記憶障害を起こしてイラストを描く仕事も奪われ、人形の写真を撮ることで再起していった実在の写真家についての映画。監督はロバート・ゼメキス。メジャー監督の作品なのに公開規模はかなり小さい。もったいない。写真家の頭の中で展開される人形たちの世界が、映像として見事に再現されていて、とにかくそれが本当によくできている。第二次大戦中のヨーロッパの架空の町を舞台に、自分を模した人形と周囲の女性たちを戦士として見立てたチームで、ナチスと戦うという妄想活劇。この世界感最高!そんなステキな妄想世界と辛い現実のシームレスな行き来が何とも切ない。ただ最後にはバック・トゥ・ザ・フューチャーデロリアンまで飛び出して再起へ向かっていくゼメキス監督だからこその展開も待っていて、スペクタクル感も満載です。ま、でも、天才の頭の中ってやつは、やっぱり謎でしかないんですけどね。何かと紙一重と。贅沢な映像体験でした。

もう一本「バイオレンスボイジャー」という映画も見た。
タイトルも聞いたことなかったんだけど、劇場に貼ってあったポスターにひかれてとりあえず見てみた。な、な、なんじゃこりゃ。とある田舎町にあるテーマパークを舞台にしたモンスターホラーものではあるんだど、どう言っていいのか…一瞬も「なるほど」と納得させてくれない狂った展開が鈍足のジェットコースターのように襲いかかってくるとてつもなくヘンテコな映像体験でした。紙芝居みたいな映像手法はゲキメーションというものらしいです。70年代に実験的に作られたことがあるらしいですが、定着しなかったそうで、ま、そうだろう、と思いますが、ここまでストレートに作家の頭の中のヘンテコな世界をそのまま見せられるのだから、この作品にはこの映像表現しかなかったのだと思う。宇治茶という人の頭の中…。見終わったらどっと疲れてました。タイプも作風も全然違うけど、偶然続けて「頭の中」映画を見ましたよ、って、そんだけです。