すんごいこんらん

「アダムの原罪」を見た。

めちゃ重たい映画だった。救いがないというのとは違う、答えがわからなすぎる重さというのか。見終わって知ったけど、製作がダルデンヌ兄弟なんですね。そりゃ重いは。ある病院の1日。というかほぼリアルタイムでの数時間の話。先日見た「ナースコール」という映画に近いけど、こちらは小児病棟。主人公はそこの看護師長のルシー。タイトルになってるアダムは4歳で入院してる患者の名前。4歳児のはずなんだけど明らかにそれより小さい。母がずっとそばにいて、でもその母には裁判所から引き離すよう接近禁止の指令が出ている。でも子供は母親にしがみついて離れない。子どもが未成熟なのは、母親が子どもにきちんと食事を与えていないからだと判断されている。はっきりとした理由はわからない。ただ、このこの母子を何とかしたいと看護師のルシーが、病棟の中を駆けずり回る忙しい映画だ。本来ひとりの子供に関わっている時間なんてないほど病院は騒然としている。そんな中、この親子に深入りしすぎて周囲の医者にもとがめられる。ルシーがアダムの母に言う。栄養が足りてないから病院食を食べさせるようにと。母はそれに従ったフリをして、食べ物を捨てて、液状のミルクみたいなのを摂取させる。宗教上の理由なのか?虐待なのか?別の理由があるのか?映画の表面上はこの母親の真意は見えてこない。ただ母子の愛着は深すぎるほど深い。映画はルシーの地獄のように忙しい日常の業務に肉薄しながら、彼女がルールをおかしてまで母子に寄り添おうとする姿を描く。そんな中、母親の軽率な行動が事故を起こして、さらに事態は悪くなる。そしてそこに呼ばれて現れる子ども父親、介入してくる司法の調査員。見ていてすごく困惑するのは、どうすればいいのかが全く見えてこないこないことだ。全員がアダムのための最善を考える。でも病院にはシステムがあり、行政には行政の判断があり、母と一緒にいることは危険なのかもしれないけど、感情で見ると引き離すのはあまりに酷に感じる。圧倒的に情報が少ない状況の中で最善を考える。おそらくこのわからなさこそがリアルなんだと思う。アダムのための最善を考えながら、どれを選んでもひずみが生まれる現実を描いている。80分弱の短い映画ながら、ものすごいスピード感と慌ただしさと困惑で、どっと疲れる作品だった。この答えの出ない状況を看護師は日常として味わっているのかと思うと、なんとも言えない気持ちになってくる。あ、上映時間すごく短いんですが、冒頭の製作会社のロゴラッシュがすさまじくて、体感では今まで見た映画でも最長クラスでした。このまま映画終わっちゃうんじゃないかと思いました。

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