ぶれてないやん

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「ホットギミック ガールミーツボーイ」を見た。

いわゆる「少女マンガ」を映像化するアプローチとして、個性の強い作家性をもってきて、今までにないものを作ろうとした結果、とんでもなくいびつで、でもフレッシュで、奇っ怪でとんがった不思議な味わいの作品ができあがってしまった、そういう映画だった。主演は乃木坂46堀未央奈。顔も演技も何となく乃木坂だ。これを自然に撮れば「あの頃、君を追いかけた」の齋藤飛鳥のように「見ているだけで幸せ」な透明感のある存在になったかもしれない。しかしそうはさせてくれない。普通の会話シーン5秒を20カットでつなぐような猛烈なカット割りと、台詞が終わる前に台詞をかぶせるスピード演出と、遠方からズームでアップを撮ったブレブレな映像が、最初から最後までずっと止まらないジェットコースター感の中で、誰にも感情移入ができないまま迷子になってしまった。ここまで実験的に振り切ってくれると、本当に気持ちがいい。とても貴重な作品だと思う。

なんかおかしい

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もうすぐ配信開始される「ストレンジャーシングス」第3シーズンに備えて、1話目からNETFLIXで見直しを始めてます。基本家から出られません。あとは午後ロードの録画で「ザ・ロック」「レッド・オクトーバーを追え」「パトリオットゲーム」「ビバリーヒルズコップ3」とか懐かしいものを見直したり、行動がちょっとおかしいです。ああ、そうか、アニメもドラマも最終回で見るものがなくなったせいか。

とうめいすぎる

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小田和正ライブ2019@さいたまスーパーアリーナを見た。

人生で初めての生・小田和正でした。驚きに満ちた体験でした。とにかくあの声量と透明感ある歌声が3時間以上まったくぶれずに劣化しないこと…ラスト近くで「さよなら」を歌うわけですが、走り回って、演奏して、すっころんで、3時間歌い続けて、40年前の歌をその当時のままの、いやそれより研ぎ澄まされた声で歌いきるんですよ、この人もう70歳を超えているわけですよ、信じられませんでした。歌声そのものはギフトには違わないと思うけど、それをどれだけストイックに磨き続けて持続させ続けているのか…この人のファンは本当に幸せだなと思いました。僕自身はほぼビギナーなんですが、それでもほとんどの曲を知っているという、メジャー曲のあまりの多さにも驚愕しました。なんというか想像を超えてすごい体験でした。

じゃっかるさん

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ザ・ファブル」を見た。

最近読み始めたばっかの「にわか」ですが、原作が超好きなので、ああ、ファブルはこんなところに襲撃に来ないぜ、とか、こんなに弱くないぜ、なんて知ったかぶってほざいてみたりもしましたが、そういうのもふくめ映画は面白いものなのです。別物として楽しみました。がっかりどころか、アガりましたよ!それにしても柳楽優弥は、ほんっとすごいな。「泣くな赤鬼」も見たいんだけど、見ないで終わっちゃいそう。それにしても見たい映画の量が多すぎて全然ついていけない。まじ、どうしよう。

やぎはさまよう

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「旅のおわり世界のはじまり」を見た。

なんというか、まるで自分を見ている気分になった。ここまで極端ではないけど、海外に行ったとき、誰とも話さずにただ一人で町をさまよい歩いて、買いたいものがなかなか見つからず、どうでもいいものを買ってしまったり、どうしてこんなところ来ちゃったんだろうってくらい変なところに出てしまって、怖くなって足早に逃げたり、劇中の前田敦子の不安げで危なっかしい行動が、まるで自分のそれを誇張している感じに見てえ、居心地が悪かった。そしてそれは、他者を信用をしてなくて、世界を拒絶してるってことの表れなんだということを突きつけられて、胃のあたりが痛くなった。そんなイヤな感覚になるほどにすごくよくできた映画だった。異国を彷徨う迷宮映画としても、前田敦子といううつろな存在の記録としても、はたまた世界の終わりとその先の希望を感じさせる寓話としても、見事な作品でした。大傑作だと思います。