おもいがけずに…

「月の満ち欠け」を見た。

思いがけずまたホラー。前日に引き続きホラー映画を見てしまった。いや、ホラーだとは思わないじゃないですか、このタイトルでこの座組だし。でもこれ、はっきり言ってホラーです。怨念とも言える強すぎる執念、執着の話です。純愛感動映画かと思って見始めたら、あれSFなの?ってなって、物語をひっくり返すキーパーソン田中圭の登場あたりから、もしかしてコメディなのって思えてきて、でも結局はホラーでしたって、縦横無尽にジャンルを横断していきます。ホラーだと思ってみると、最後にある人物がする「しーっ」っていうポーズが恐怖に変わります。ぜひ、そこを意識して見てください。物語がひっくり返りますから。ただ見終わって感想を話していたら、別の可能性も見えてきました。この話の全体像が誰によって語られたかを考えてみると、まったく違った物語が姿を現すのです。伊藤沙莉演じる死んだ娘の親友です。彼女の存在はまるで謎なんです。高校を卒業してすぐ子どもを産んでいますが、それは誰の子であったのか、その辺りのことがまるで語られない。もしかしてこれはすべて保険金を巡る壮大な詐欺なのでは…。そう考えると、物語上のテーマであるSF的超現象にも説明がつくんですよね。全て仕組まれた嘘なのでは。そう考えるとこの映画、ミステリーなのかもしれないんですよね。なんて奥が深いんだ。80年代の早稲田松竹はそんなに良いイスじゃないとか、81年にプルトップの缶ビールは存在してないとか、青森から出てきた貧乏学生はそんなステキな部屋に住んでないとか、こういう映画こそ誰かと見て、やいやいと語り合いたいものです。楽しい映画でした!

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