「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」
１作目が低予算ながら、音を立てられないという恐怖を劇場で味わうアトラクション的な内容だったので、これは２作目が難しい映画だろうな…と思ったけど、これがすんなりハードルを越えていて、あれ？もしかしてこれ２作目ありきの１作目だった？ってくらいには楽しめた。派手さでくるかと思ったら、意外に上品な続編だった。そこに好感を持った。まず冒頭の１作目の前日譚がよい。世界がこうなってしまった始まりの日、日常が壊れる瞬間なんだけど、しっかり色んな要素を散りばめていて、商店の棚に１作目のあのオモチャがあったり、行きと帰りで同じ景色が激変していたり、さりげなく手話の伏線を入れ込んでいたり、すごく短いシーンなのに日常グッバイな描写の手際がよかった。で、前作の直後の話になる。前作は家族の中だけの話だったけど、今回は外に向かっていく話で、世界は広くなるんだけど、ど派手にするんじゃなくて、あくまでも小さく一歩踏み出すくらいにとどまっていて良い。襲ってくる「何か」については、それが特に進化したりもせず、過剰に盛ってこないのがよくて、相変わらず怖がらせ方が上品だ。平日の夜に行ったけどけっこう人が入っていて、急に静かになるタイミングでは緊張感も上がってくるので、やはりこれは劇場で見るべき映画だと思った。
