じみでどんより…

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 「ブレスレット 鏡の中の私」を見た。

親友を殺害した容疑をかけられた少女の法廷劇。ロングショットで何が起きたのかわからない逮捕シーンに始まって、法廷で話される事以上のことが観客に示されないのもあって、事件の真相がなかなか見えてこない映画だ。主人公の少女は感情を出さず、沈黙を守り続け、裁判そのものが他人事のように進んでいく。状況証拠だけで罪を着せようとする検察と感情に訴えて無罪を主張する弁護士の代理戦争に見える。当の本人はただそこにいるだけという状況。徐々に真相がわかってくるのだが、何かもやもやするものが残る。これは何か。理屈で理解できない新しい世代への脅威のようなものを感じた。こういう地味でどんよりした映画、すっごく好き。ブレスレットっていうタイトルが最後に効いてくる感じもよい。