ぽっぽっぷすたー

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「ポップスター」を見た。

この監督の前作「シークレット・オブ・モンスター」が、やがて独裁者になる男の少年時代を描いた不気味な映画で、けっこう好きだったので本作も期待して見てきた。なるほどテーマはつながっていて、やはり恐ろしい映画だった。学校で起きた銃乱射事件から生き延びた主人公が、タイトル通りポップスターになっていく話なのだが、とにかく画面が不気味な暗さを持っている。そして寓話のごとく語られる章立て構成とナレーション。不幸な事件を生き延びた少女に感情移入させない絶妙な距離感。人生で最悪の経験をしたことが、彼女にとってはギフトとなり、やがてスターになっていくのだが、そのことによる贖罪に悩まされ、酒に溺れ、人生はボロボロになり、これは「ジュディ」や「ホイットニー」「AMY・エイミー」にも通じるスターの人生不幸物語ではあるが、この映画はその先のもっと恐ろしいことを予感させる作りになっている。なるほど首に受けた銃弾は、彼女にとってのギフトでもあり聖痕でもあって、冒頭突然エンドクレジットが始まるあそこで(「CLIMAX クライマックス」か!?)、彼女の人としての人生は終わったのだなと。表面上で描かれていること以上になんとも暗黒に染まった映画でした。超好みの映画です。