まるでゆめだな

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男はつらいよ50 お帰り寅さん」を見た。

なんだか泣けて、泣けて、しかたのない作品だった。なんで自分が泣いているのか、その理由がよくわからない不思議な体験だった。「男はつらいよ」についてはほぼ全作品見ているのだけど、劇場で見るのは実は初めて。思い入れが強くあるかと言えば、好きではあるけど、世代が違うというか、満男の成長と共に育ってきた世代ではあるけど、リアルタイムでそれと共に育ったというよりは、テレビであとから見た感じだ。リアルタイム度で言えば圧倒的に「北の国から」だ。ただ物心ついた頃から正月と言えば寅さんという風物詩があった。シリーズはもちろん渥美清の死とともに終わったのだけど、映画の中では20年以上前にいつのものようにふらっと出かけていったままの寅次郎の帰りをまだ待っていて、みんなすごく年を取って、いなくなった人もいれば、新しく増えた人もいて、懐かしい顔ぶれが、変わらずそこで、その人の帰りを待っている。なんだかその光景を見ているだけで涙が溢れて止まらなかったのだと思う。なんだか夢を見ているような映画だった。何年か前にお仕事で立川志らく師匠にお会いしたときに、ちょうど「家族はつらいよ」に出演した直後で、そのことに触れた編集者が「この間「男はつらいよ」に出演されたそうで」と間違えて言ったことに「そんな夢みたいな話はないよ。「家族はつらいよ」だよ」と返していたんだけど、そんな志らく師匠が少しだけ今作に出ていた。夢みたいな話だ。そう、この映画は夢なんだ。