むじひなせかい

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「ピータールー マンチェスターの悲劇」を見た。

1800年代イギリスマンチェスターで起きた「ピータールーの虐殺」を描いた作品。この時代のイギリス、とにかく貧しいのだ。生活の困窮ぶりがひどくて、政治権力は完全に腐敗しきっていて、どうしようもない状況で、民衆よ立ち上がれ!ということで大規模な平和的な集会を開こうとするのだけど、そこで大変な事態が起きると。それをすごく俯瞰してみせる映画でした。大きく誰かに感情移入させるような作りにはなっていない。たとえば、冒頭、戦場で何もできずに立ち尽くして呆然としている兵士が、何とか生き残り、故郷のマンチェスターに帰るのだけど、廃人のようになっていて、何とか立ち直って働こうにも仕事は何もなく、特に何の主張もないけど集会に参加して傍聴するも、演説は全く聞こえず、何も事態がわからないまま命を落とすと、そういう様々な視点が入り交じって描かれる「ある事件」の映画でした。権力側の無慈悲で残酷な物言いも、世界を変えるために運動している人たちも、カリスマ性を持って演説を振るう革命家も、すべてが一定の距離感を持って描かれます。そのことで沸き上がる感情こそ、この映画を見た証なんでしょうね。今の世の中に通じる生き苦しさを感じました。今見るべき映画だと思います。