ひかりがみえた

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「岬の兄妹」を見た。

足の不自由な兄と自閉症の妹。職を失い、頼る家族もなく、電気代も払えず、食べるものもなくなり、行き場のなくなった先で取る最悪の選択。2人が始めるファミリービジネス。地獄のような状況で、最低最悪の道を歩むことになるのだが、そこで初めて2人に光が差し込む。文字通り本当に真っ暗だった部屋に光が差し込むのだ。なんていう映画だ。でもすごいのはこの映画が笑えるのだ。むちゃくちゃダークで暗くて不謹慎なテーマなんだけど、それでも笑えるし面白いのだ。食べるものがなくなってティッシュを食べるシーンだったり、兄が夢の中ではしゃぐシーンだったり、とにかくおかしい(ただ、その笑いの後にどしんとくる絶望とか切なさがあるのだけど)。いちばん強烈だったのは不良中学生に囲まれてお金を奪われそうになった兄が見せるすさまじい護身術。映画史上に残る最悪な喧嘩術ともいえる、ほんとに最低な勝ち方に爆笑してしまった。とにかく、どこからどこまでも最低で低い映画だ。それでも生きる、生きていく、そういう映画だった。で、これが日本のリアルに見えてくる。すごいものを見ました。ここ何日か、とにかくどんずまりで落ちていたのだけど、今回も映画に救われました。そしてとりあえず全部放り出して、2時間電車に揺られて懐かしい人に会いに行き、その後友人と酒を飲んだ。状況はあんまり変わってないけど、気分はすっきりした。ありがとう。なんとかなりそうな気がしてきました。