なつのおもいで

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「メモリー・オブ・サマー」を見た。

なんて切ない映画なんだ。ある夏、少年に起きたこと。70年代のポーランドの小さな町が舞台。監督の少年期を描いた作品だという。退屈で、孤独で、静寂な地獄のような夏休み。親との関係も子供同士の力関係も自分ひとりではどうすることもできない無力さに対する怒りと失望。もうとにかく不憫でしかたがない。冒頭に描かれる「その瞬間」へ向かって、何も起きないけど、どうしようもなく哀しい日常が続いていく。ただ透明感あふれるすごく美しい映像と、どこかすごく懐かしい景色が広がっていて、いつまでも見ていられる映画だった。いや、でも切なくて耐えられないか…。とにかくグッとくる映画だった。切ないけど最高!なんとか劇場で見れてよかった。

あいどるすごい

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かぐや様は告らせたい」を見た。

橋本環奈と平野紫耀、かすれハスキーボイスでお馴染みの大人気アイドル2人が共演の真正アイドル映画。これぞアイドル。そしてこれぞハスキー。すごいのは、平日のお昼だというのに劇場が満席だってこと。あれ?夏休み終わってんじゃないの。おかしい。はじまって、冒頭からどうかしてるレベルのチープなアニメーションと、ふざけたナレーションで、大丈夫かこの映画?って思ったんですが、結論から言うと、大好きです、この映画。途中から主役2人の初々しい恋愛合戦が、超愛おしく思えてきた。チープな美術も、寒いギャグも、すべてが許せてしまう不思議感覚な映画でした。つまりアイドルすげーってことです。やられました。

ちゅうにでした

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「いなくなれ、群青」を見た。

中二でした。中二で止まった世界の話。魔女がいる島で外界から隔離されて暮らす少年少女たち。連れてこられた理由を覚えている人はいない。なくしたものを見つけたら島を出られるという。永遠に続く日常を何の疑問もなく生きていく、まさに永遠の中二感!永遠に続くはずの階段とか、映像化するならアニメで見たかった気もするんだけど、アイドル映画向きの設定でもあります。こういう映画は旬なうちに見ないとね。角度によって、吉岡里帆にもにも新垣結衣にも見えてくる飯豊まりえのロールシャッハテスト感を味わいつつ、なくしてしまった何かについて考えました。

しろとくろです

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「SHADOW 影武者」を見た。

チャン・イーモウ三国志を撮ったって聞いてたんだけど、荊州争奪戦を大胆にアレンジして作ったオリジナルストーリーだったんですね。なるほど。白と黒のコントラストのハッキリしたまるで水墨画のような世界感。静かなドラマの前半と後半の大合戦。緩急ついていて楽しませてもらいました。雨の降る暗がりの中を敵陣に攻め入るシーンは、傘の使い方とかすごく新しくて面白かった。水墨画っぽい衣装とか美術がとにかくすばらしかったな。エンドクレジットの協賛会社のおびただしい量にも驚愕しました。

せいぶのわーる

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「荒野の誓い」を見た。

19世紀末のアメリカ。かつて敵として戦った先住民の長とその家族を故郷まで護送する任務に就く騎兵隊大尉。そこに加わる先住民に家族を惨殺された未亡人。敵対関係にある人物たちが常に危険と隣り合わせの旅路を行くってだけで、もう映画としての面白さは十分保証ずみ。でもって、やっぱりすごいのは主役の騎兵隊大尉を演じるクリスチャン・ベールです。この人、この間「バイス」でぶくぶくに太ってディック・チェイニーを演じてた人ですよ、同じ人に見えないです。とにかくこの人が旅の中で、人間的に変わっていくのだけど、その変化が見事でした。憎しみを抱いてものがやがてお互いを認め合って、最後はどうなるか。今見るべき映画ですね。ほんとに。

うさぎのあなた

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「アス」を見た。

突然玄関の前に自分たちそっくりのヤツらが立っていて、そいつらが家に押し入ってくるというホラー。最近、ホラー映画やたら多き気がするけど、ほんとかんべんしてほしい。じゃ、見るなよって、確かにそうなんだけど、面白ソウナンだもん、仕方ないじゃん。つーわけで、びくびくしながら見ました。そういう意味ではぎゃーーっていう怖さはあまりなくてよかったです。隣の席にも迷惑をかけないですみました。どちらかというとじわじわと怖い。あとけっこう悪趣味な冗談がきいてて、けっこう笑えました。監督のジョーダン・ピールはコメディアンですからね。全体的にはかなり真面目な映画で、そのテーマが立ちすぎている印象が強いですが、散りばめられた86年、ハンズ・アクロス・アメリカ、迷子になった15分、11時11分、みたいな記号的な要素をあとで答え合わせ的につなぎあわせて、ああってなるのも楽しみ方のひとつですね。もう一回見たいんだけど、他に見たい映画が多すぎて…かなわないだろうな、それは。

とーるきんさん

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トールキン 旅のはじまり」を見た。

トールキンの名前を初めて知ったのは1987年のことだった。なんでそんなことを覚えてるかと言えば、「RPG幻想事典」という本を買って、そこでトールキンの名前と「指輪物語」と「ホビットの冒険」を知ったことを覚えているからだ。この年の1月にファミコン版(ドラゴンクエストII 悪霊の神々」を発売と同時に買って、ファンタジー世界が好きになりすぎて買った本だった。この本がきっかけでテーブルトークRPGに興味を持って「ダンジョンズ&ドラゴンズ」のベーシックルールセットを買ってみたり、だけど結局遊んでくれる友達がひとりもいなくて、ひたすらルールブックを見て脳内で冒険を繰り返していたり、ファミコンはRPGブームが到来していて「ファイナルファンタジー」1作目も買ったし、この年にファミコンでやったゲームだと「ヘラクレスの栄光」「破邪の封印」「カリーンの剣」「ミネルバトンサーガ」、ファンタージじゃないけど「女神転生」「桃太郎伝説」だったり、クソゲーの代表格「星をみるひと」も、いろいろRPGをやった。パソコンだと「YS」「ハイドライド3」もこの年で、これはPC88を持ってなかったので、店主と仲良くなった駅前の電気屋でプレイさせてもらったりした。とにかくRPGゲームばかりやっていた。TVゲームから離れたところではスティーブ・ジャクソンの名作ゲームブック「ソーサリー」シリーズを夢中でやっていた。そんなファンタジーの世界の基礎を作ったのがトールキンだと。その世界の言語から作ったんだぞ、なんてすごい人なんだ。そんなトールキンが「指輪物語」を書き始めるまでの物語がこの映画。スタンドバイミー感のある青春友情映画でとてもよかった。こういう映画大好き。そんな「スタンドバイミー」を見たのも87年だった。自分にとっての87年が詰まった映画だった。ものすごく個人的なことだけど。