はじめからまかい

マンティコア 怪物」を見た。

後味最悪ながらも細部が楽しい映画でした。一見すると内気な青年と献身的な女性のラブスーリーである。おかしなことはおきない。青年はゲームのグラフィックデザイナー。緻密なモンスターを創作する人。女性は病気の父を介護して自分のやりたいことを抑えて献身的に尽くす人。この2人が出会う。そして恋が始まる。そういう話ではある。だけどそこに常に何か変な予感がある。そしてそれは突如崩れ落ちる。外側だけ見ていると分からない内なる隠された欲望、自分の中の怪物の話である。そのことは誰にも話さない。見せない。はずなのに…。とにかく静かに事が進んだ終盤、とてつもない怖さがやってくる。どこまでいくの?そう思って見ていると、一枚の絵にやられる。怪物の正体は最初から見抜かれていたのかと…。何の話かわからないでしょう?でもそういう映画なんです。でもね、よく考えたら、最初から怖いんです。顔が。もう。ラストは絶望かと思いきや、意外にもある人の欲望をしっかり満たすある意味ハッピーエンドです。後味の悪い大好きなタイプの映画です。ちなみに青年のスマホの着信音は、魔界村ゲーム音楽です。最初からすでに魔界です。で、女性のトラウマになっているという「ビデオドローム」だと思って父のビデオを見たらポルノが入っていた、というのは、「サムライ・ドリーム」というタイトルのポルノだったんじゃないですか?で、あれば正解です。それビデオドロームです。あと伊藤潤二の新作マンガって何だったの?とか、とても細部のオタク要素が楽しい映画でした。

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げつようなんです

先週、無事セミナーが終わりました。いやーオンラインセミナーきつかった。一人で部屋でスライド見ながら、しゃべるんですよ。相づちをうってくれる人もいなければ、何の反応もない…地獄ですね…。チャット見ながら気楽にしゃべるみたいな内容だったら、まだよかったのかもだけど…というか、そうればよかったのかもしれないけど、とにかく準備も大変、話すのも地獄で、なんか本気でキツかった。その上、反応が見えないから、まったく達成感もない。ちょっとしたやりきった感と、得体の知れない疲労がすごかった。ま、でもとにかく終わった。無理矢流でもなければやらなかった自分のデザインに向き合うことのとっかかりになった。その意味では声をかけてもらったことに感謝している。こんな大変なこと自発的には向き合えなかった気がする。考えてみたら今まで誰かにデザインの仕事のことを相談したり、わからないことを聞いたり、悩みを聞いてもらったり、27年やってきて一度もなかったなって…。よくやってきたなって思った。とりあえずいったん寝かして、またいずれ向き合おう。そう思った。

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そこにいるとは…

「異人たち」を見た。

そこで食べるのはそれなのかな映画だった。わたしは大林宣彦坂「異人たちとの夏」が好きである。大林監督が亡くなったときに見たのはこの映画だった。一時期は毎年夏が来るとみていた気がする。あのラストがあるのでけっこう不思議なバランスの映画なんだけど、あの空気感が好きで、特にすき焼きを食べるシーンの切なさが何とも言えず好きで、あの映画を観るとすき焼きを食べたくなる。これ、お盆の話じゃないですか。イギリスでリメイクしてその感じがどうなるんだろうって思ってたんだけど、いや、これが何ともとてもいい映画だった。お盆云々はどうでもよくなっていた。よくできていた。同じなんだけど、まったく違う映画になっていた。基本の骨格はそのまま。でも違う。過去に何を置いてきたのか。そして今をどう生きていくのか。愛と孤立と死…存在とは何であるか…。ノスタルジーのその先が描かれた映画になっていた。クライマックスのすき焼き、そうかイギリスだとそれになるのかは、なんかだかほっこりポイントでした。しみじみとしみてくる映画だった。

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おまえだれなんだ

「貴公子」を見た。

ずっと終わらないで欲しい映画だった。めちゃ楽しかったー。もう始まった瞬間からこのキャラ最高!サイコでナルシストで紳士なプロの仕事人。クセが強い!強すぎる。「お前、誰?」「友達だよ」って、もう笑顔が最高にサイコでこえー。でもなんか愛くるしい。ほんと、誰なのお前?が止まらない。その見せ方が面白い。最初、一体なんの話かわからない。フィリピンの地下ボクシング。野良犬みたいな青年と、そこに突然現れる金持ちたち。「あなたは実は韓国の大金持ちの隠し子で…」って、理由も分からず韓国に連れて行かれる。そこに突然現れる「友達だよ」っていう笑顔の男。シンデレラストーリーなの?韓国財閥の超金持ちたちの権力抗争ものなの?この笑顔の紳士は敵なの?味方なの?何が起きるのー?な揺さぶりがすごい!見せ方が超面白い。そしてキャラがいい。いつまでも見ていたい。終わらないでほしい。永遠にやっててほしけど、映画だからね、終わっちゃう。終わり方、よかった。オチもかわいかった。楽しい映画だった。続編、お願いします。

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まんがみたいな…

プリシラ」を見た。

少女マンガ!?から一転、なんだか切ない映画だった。ソフィアコッポラ。なのでオシャレ。すごくオシャレなんだけど、けっこう怖い映画でした。始まりはマジ少女マンガ!世界的スーパースターが、なんてことない平凡な15歳の女子中学生に一目惚れ?!世界が熱狂するプレスリーがですよ。なんでわたしー!って、女子中学生がスーパースターから熱烈アタックを受ける。「ヤバい、ぜんぶあげちゃう!」と思ったらまさかの「君を大事にしたいから、いまはプラトニックな関係のままでいよう」って、猛烈に惚れられた上に、大事にされてるーって、マジ少女マンガ。浮かれてたら、彼はアメリカに帰って離れはばなれ。やっぱりあれは夢?なんて思ってら、アメリカ行きのファーストクラスのチケットが送られてくる。ぎゃーーーー!もう、少女の願望が全部盛り!もりもり、な胸キュン映画。ここまでが前半。一転して、中盤以降様子が変わる。なぜわたしだったのか?彼は何を求めていたのか?それが次第に分かってくる。牢獄に囚われた姫のような…そんな映画になっていく。これは人をコントロールして支配しようとする力の映画だ。実際の人物像がどうだったのかは分からないが、映画としてはその描き方が、ちょっと怖くて、そして哀しくもあった。そして囚われの姫はやがて自由を手にするが、世界のスターがここから辿る道は…。そう考えると運命の皮肉のようなものも感じる。そういう映画だった。

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だんちのあんこく

「ザ・タワー」を見た。

暗黒の団地映画だった。突然、一棟だけ世界に取り残される団地。理由は不明。団地の外は闇。何も無い。真っ暗な中に手を出したくなるじゃん。すって手を出すと、出した部分がなくなるの。手が無くなる。この辺の見せ方が面白い。主人公らしき女性の弟の身に起きることなんか、めちゃくちゃ怖い事態なのに、さらりと描かれる。さらりと怖い。そして、住民たちが、なんかこれヤバくね?ってなっていく。舞台はフランス。その建物には色んな人種が住んでる。同じ民族、肌の色が同じ人たちが徒党を組む。小さな分断が始まる。そして5ヶ月経つ。食べ物の循環システムが出来上がり、階層が分かれて分断が激しくなる。暴力が支配し、子供が老人を殺して、食料としての犬を盗む。そんな無法地帯。力による支配がある一方、徐々にその秩序も壊れ始め、決定的なことが起きる。そして5年経つ…。時間の経過とともに建物内の様子が変わっていくのが面白い。断絶が深まり、宗教が生まれ、圧倒的な虚無の中でも人は生きていく。心理的にいやーな映画だった。

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よんじゅうごまい

「毎日ララミーとプレゼント交換をする」習慣!続いてます!45枚目の写真をいただきました!!!雨の降る中、ドラム式洗濯機をプレゼントしたらもらえました。やった!嬉しい。昨日はお祝いにゴールデン街でしこたま飲んできました!そして昨日は月に一度写真展を見る日でもありました。見てきました!3つ、いや4つ。4つも見たのか…。すべてモノクロの写真展。写真らしい写真だった。蒼穹舎で見た野津大人「函館 1、2月ころ」は、雪以外は黒い風景で、そうか雪の風景は圧倒的なコントラストなんだということを感じさせる写真だった。冬の北海道。墓の上にカラス。その向こうは湖。そして対岸に街が広がる。雪の白と、それ以外は黒が占める。陰影の世界。RED Photo Galleryで、佐藤充「昨日」。都会の女性達はみんな寂しそうだ。プレイスMでランボブスキー・ドミトリー「懐疑と孤独」。海外の人が見た新宿。会場には暗いフォークソングのような曲が流れている。無情感がある写真。新宿中央公園小橋とキャプションのある写真。陸橋の下で救急隊が誰かを搬送している。モノクロだけどその足元にあるサンダルだけ赤い。写真に運ばれる人自体は写ってない。赤いサンダルだけが見える。ふと見るもと、陸橋の手すりにも赤いサンダルがぶら下がっている。搬送される男はそこから飛び降りたのだろうか。そして写真の脇に、それと同じ赤いサンダルの実物が置かれている。そういう無常感。どこまでも果てしなく続くように横一列に白線が並ぶ横断歩道を撮影した大きな写真。なんとも不思議な距離感を感じた。会場には写真家が在廊していて、帰りに「プレゼントです、好きな写真のポストカードをもって帰ってください」という。とても感じのいい人だった。横断歩道の写真をもらって帰った。最後にもう一つ。いつもいくゴールデン街の店、こどじで広瀨勉「Phortocopier FROM CATRUN」。モノクロの猫の写真。質感が面白いと思ったらモノクロのプリントをコピー機でコピーしたものとのこと。写真の猫の黒さがより黒く感じる。飲んでいたらさきほど見てきた写真展の作家がやってきてさっき展示を見てきましたと、伝えた。展示を4つ見て作家3人と会った。たくさん飲んでたくさん人に会った。昼はサンクチュアリ出版にも行った。1年ぶりに社長と30分面談した。電車の中で本も読んだ。朝3時から仕事してた。気がついたら夜中で日付を超えていた。昼間は疲れた。もうダメかもと思っていたけど、けっこう体力はもつものだなと思った。明日はセミナーだ。今日は新しい仕事の打ち合わせがたくさんある。忙しいはずの日なのに夕べ飲み過ぎたから寝坊した。5時半まで寝てた。最近毎日3時に起きていたから、5時半に起きるとすごく寝坊した気がする。打ち合わせの前に他の仕事を終わらせて、本を読まなければ。夜は映画に行けるだろうか。今日も日常が続くな。

<45枚目までの道のり>

4/16ドラムせんたくき→ララミーのしゃしん

4/15キャリーワゴン→フードショップのユニフォーム

4/14れいぞうこ→サイクルキャップ

4/13釣り大会でプレゼント交換なし

4/12ゲーミングチェア→きいろいキュートなかべ

4/11のぼり→スポーツユニフォーム

4/10家に呼ばれた ゲームハイロー 負けた

ニットキャップをお土産に

オリエンタルなかざりだな→シルハット

4/9キュートなフロアランプ→カフェエプロン

4/8トラクター→しろいこばながらかべがみ

4/7クールなソファ→エスニックなターバン

4/6ホタテのカルパッチョのレシピもらう

たておきカラーボックス→タオルかけシャツ

4/5ラタンのベッド→ロンパース

4/4わふうなローテーブルピエロのふく

 

44枚目はこちら

shimpachi.hatenablog.com

 

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